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お客様とのシステム構築例

株式会社小林工業所(戦略経営者2007年9月号より)
  タイムリーに工事別利益つかみ財務体質の強化を狙う
 パブリックレコード株式会社(戦略経営者2005年5月号より)
  得意先別に業績を管理し年商6億円の達成めざす
 アルプス物産株式会社(戦略経営者2003年5月号より)
  タイムリーな業績管理が経営革新を生む

「黒字決算」のための財務戦略システム事例2

 建設業用会計情報データベース(DAIC2)ユーザー 

株式会社小林工業所(戦略経営者2007年9月号より)タイムリーに工事別利益つかみ財務体質の強化を狙う

長野県駒ヶ根市を地盤に住宅事業を展開するのが小林工業所だ。健康住宅づくりをウリにして、着実に業績を伸ばしてきている。そこで、TKCの『DAIC2』を活用した財務戦略を、同社副社長の小林啓一氏(45)と顧問税理士の松崎堅太朗氏、同税理士事務所監査部長の下島哲朗氏に聞いた。

  健康住宅づくりをウリに地域トップを目指す

株式会社小林工業所

御社は来年1月に創業90周年を迎えるそうですね。


小林:はい。初代(祖父)が大工の棟梁になって、建築事業を始めてから、来年1月1日でちょうど90年になります。これまでは主に公共工事と民間工事の2本立てでやってきましたが、3、4年前から住宅に特化してきています。以前は年商の7割ほどを公共工事(体育館・博物館などの建築工事、河川・道路の土木工事)が占めていましたが、現在は逆に、民間の住宅工事が全体の約98%を占めています。 公共工事から住宅事業に軸足を移した理由は、1つは民間の方が次期の経営計画を立てやすいからです。公共工事は年度によって変動がありますし、一般競争入札では利益を出すのが難しいところがあります。今一つの理由は、私自身(一級建築士として)住宅関連の設計を得意にしているからです。大学を卒業後、長野市内にある建築設計事務所で6年半修業したあと、当社に入社しました。住宅はもとより病院、美術館などの設計にも関わり、“建築ノウハウ”を身につけてきました。

年間の請負件数は……。

小林:主力の一般住宅の他に、店舗併用型住宅、事務所なども手がけており、年間の請負件数は新規が20数棟、リフォームが百数十棟です。店舗併用型というのは、例えば1階が美容室で、2階が住宅といったケースです。駒ヶ根市にある「本社」から車で1時間以内で行ける範囲を主要営業エリアと定めており、2007年5月期の売上高は約5億円でした。当社のウリの一つは、自然素材にこだわった健康住宅づくりです。シックハウス症候群の主原因といわれる「化学ノリ」を一切使わず、代わりに米で作る「米糊」や「にかわ」を用い、建材自体も天然素材をふんだんに使って快適な住環境を作り出しています。

松崎堅太朗公認会計士・税理士:実は、昨年新築したうちの事務所も、小林工業所さんに建ててもらったものなんですよ。おしゃれでアートな感覚がとても気に入っています。

マイホームは一生に一度の買い物だけに、契約にこぎ着けるまでが大変なのではないですか。

小林:通常、お客様との打ち合わせは半年~2年くらいかかり、建物を着工してから完成させるまでの工期は最短で4ヵ月、長くて9ヵ月です。当社の人員は設計担当が私を含め7名、工務担当(現場監督)が4名など全部で17名です。
まず、口コミなどで仕事の依頼がくると、私の方で「担当設計士」を決め、その設計士がお客様の土地の状況(周辺環境)を調べたり、予算や間取りなどをヒアリングしたりして設計図に仕上げます。ここまでくるのに半年以上かかり、「資金計画」も担当設計士が作成します。
ところで、住宅事業に特化しようと考えたとき、従来の住宅事業課を「ファミリーウッド」(登録商標)という名称に改めました。小林工業所という名前では、住宅をメーンにしている会社とは思われにくいからです。そこで、小林工業所の「小」はお客様との距離が小さい(短い)、ファミリーのような親近感があること、「林」はウッドということからファミリーウッドにしたわけです。名刺や封筒、看板などに、このファミリーウッドを使うことで住宅事業をクローズアップさせ、マーケットに浸透させてきました。

  毎月《工事利益管理表》で現場ごとの粗利益をチェック

10年ほど前に『DAIC2』を導入されたと聞いています。

小林:昔は決算をしてみなければ利益が出ているのかいないのかわからないような状態でした。このため前の税理士先生から松崎先生に切り替える際、タイムリーに現場ごとの業績をつかむためには『DAIC2』が最適と勧められ、導入しました。

実行予算はどのようにして作成されているのですか。

小林:当社では大別して2つの方法で行っています。1つはある“ソフト”を使って見積もり(請負金額)を出すと、自動的に実行予算が組まれるという方法です。このソフトは全国の工務店・ビルダーで組織・運営されている「団体」で作られたものです。当社もその会員企業で、スピーディーに見積もりを作成する狙いから活用しています。その中身は基礎工事、キッチン、トイレ、ユニットバスなど“アイテム”ごとに標準コストが定められていて、それに則って「対象顧客」の見積もりを作成するというものです。
それに対して、松崎先生の事務所のようにデザイン性が高く、標準的なケース(建物)とは異なる場合は基礎に使う鉄筋コンクリートの量から、すべてアイテムごとに拾い出して積算する必要があります。この場合は、従来の大工・工務店のやり方で、最初に実行予算を出して、そのうえで請負金額を決めます。つまり建物が標準的かそうでないかによって、“両者”を使い分けているということです。なぜ、そうしているのかといえば、従来の方法だと、見積もりを出すのに手間と費用がかかるからです。その手間と費用を省く手段として、そのソフトを使っているわけです。

松崎税理士:ただし、小林工業所さんの場合は、工期が比較的短いということもあり、『DAIC2』に実行予算は登録せず、材料の仕入先や外注先から請求書が送られてくると、そのつど金額を入力するという手法をとっています。

監査担当者:『DAIC2』では現場ごとに「工事番号」をつけていて、例えば仕入先が請求書を書くとき、必ずどこの現場でその材料が使われたのかを明記するようにしてもらっています。

小林:毎月20日締めの25日請求で、支払いは翌月5日です。先ほどそのソフトを使うと自動的に実行予算が組まれると言いましたが、それはその工事の粗利益(請負金額実行予算)はいくらなのかもわかるということであり、その“目標粗利益”と実際に工事を行った結果、粗利がどれくらい出たのかを『DAIC2』で1棟1棟チェックしているわけです。具体的には《工事利益管理表》という帳表を見てチェックしています。これは、複数の工事の粗利益率や入金状況などを一覧表にしたものですから、これを見ればどの工事が儲かっているのかいないのかを一目で確認できます。

  今後は「設計士」別に分けて業績管理する計画

1棟当たりの目標粗利益率は。

小林:具体的な数字は言えませんが、人件費などの固定費を賄い、かつ毎期黒字決算を実現していくためには、やはり数十%は必要ですね。

その目標粗利益率が実際より下回るときというのは……。

小林:端的にいえば“失敗工事”をしたときです。例えば、図面上は天井の高さを2.5メートルとしたが、実際にお客様がその天井を見たら「ちょっと低いな」と感じたとします。それは、お客様との打ち合わせのときに「もしかしたら見た目は低く感じるかもしれません」と説明しなかった我々の方に落ち度があると捉えています。結果、無償でやり直すこともあります。それは目標粗利益をその分引き下げることになりますが、地元に根を下ろして事業をやっていくためには、ケースによってそういうことも必要だと考えています。

松崎税理士:それは、目先のことより一生つきあっていくという姿勢の表れだと思います。実際、感じのいい対応を受けたお客様のなかには、自分の知り合いを小林工業所さんに紹介したり、自らリフォーム工事をお願いしたりしていますからね。

工事原価(変動費)の中では、やはり材料費と外注費が大きなウエートを占めているのではないかと思いますが、この面で何か工夫されていることはありますか。

小林:天然素材などの「主要木材」に関しては仕入先を一本に絞ることで単価を抑えています。他方で、壁などに使う材料や照明器具などに関しては、先ほど言った「団体」を通じて仕入れています。この方がいい物を安く調達することができます。
また、1軒の家を建てる場合、大工さん以外に「基礎工事」とか「屋根工事」「電気工事」など、10工種以上の職人さんが関わります。その人たちを現場で監理しているのが工務担当者です。大工さんも一人で行う方もいれば、3人1組で行う人たちもいますが、基本的には当社の家造りに共感してくれている人に仕事をお願いしています。
今後は「設計士」ごとに分けて、業績を管理していきたいと考えています。それは、つまり設計士ごとに来期はどれくらいの売上と経常利益をあげるかという目標を持たせ、その進捗管理を『DAIC2』で行っていくということです。
同業他社との競争は年々激しさを増していますが、社員一人ひとりが常にお客様の立場で物事を考え、きめ細かな対応を行っていけば、業績を伸ばしていくことは可能です。今期は年商6億円、来期は8億円の達成を目指しています。

(本誌・岩崎敏夫)

  会社概要

名称株式会社小林工業所
業種木造建築工事業
代表者小林清志
設立1953(昭和28)年7月
本社長野県駒ヶ根市赤穂2375-1
TEL0265-82-2164
売上高5億円
社員数17名
顧問税理士http://www.fwood.jp/
顧問税理士松崎堅太朗
松崎税理士・公認会計士事務所
長野県駒ヶ根市上穂栄町21-20
0265-83-4531
http://cpamatsuzaki.tkcnf.com/

「黒字決算」のための財務戦略システム事例2

  戦略販売・購買情報システム(SX2)ユーザー  

パブリックレコード株式会社(戦略経営者2005年5月号より)得意先別に業績を管理し年商6億円の達成めざす

長野県に本社を置くパブリックレコードでは、バランス・スコアカード経営を導入して新商品の開発に力を入れる一方、TKCの『戦略販売・購買情報システム(SX2)』と『戦略財務情報システム(FX2)』を活用して経営体質の強化に取り組んでいる。そこで、その活用法を同社の奥田憲一社長(57)と、顧問税理士の松崎堅太朗氏、監査担当者の永井康浩氏に聞いた。

   “音と映像”技術を武器に業績を伸ばす

パブリックレコード株式会社

御社は日本で唯一アナログレコードのマスター盤を製造しているそうですね。

奥田:マスター盤というのは、アルミ製の円盤に特殊な塗料(ラッカー)をコーティングしたものです。このマスター盤に音入れ(カッティングしてミゾを切ること)をして、それをニッケル加工して金型を作り、その金型を使ってプレス機でアナログレコードを生産するわけです。したがって、マスター盤とはアナログレコードを生産するための「型材」ということです。レコードのもとになる重要なディスクなので、キズやホコリ、歪みのないフラットな状態が求められ、そこに塗布するラッカーも厚さ180~200ミクロンにします。現在、このマスター盤を製造しているのは世界で3社しかなく、国内では当社だけです。

アナログレコードは1982年にCD(コンパクトディスク)が登場して以来、影が薄くなる一方ですが、その市場規模は現在どれくらいなのですか。


奥田:国内のアナログレコード枚数は年間100万枚前後といわれています。クラブと呼ばれるナイトスポットでは、DJはCDよりもアナログ盤を好んで使います。アナログの方が低音域の響きがよく、ダンスには向いているからです。CDに比べ音が柔らかいのが特徴です。また、昨年は「マツケンサンバ」が流行りましたけれど、マニア向けにLP盤も発売されています。ただ、当社にとって重要なのは、アナログレコードが何枚生産販売されたかではなく、タイトル(新曲)がどれだけ出るかです。仮に1タイトルで100万枚売れても、うちの場合は2枚(A面・B面)だけですからね。取引先(発注先)はカッティングを行っているところで、主にヨーロッパを中心に出荷しています。
当社は75年に父(奥田実氏)が興した会社で、彼はキングレコードで録音盤の製作にかかわっていました。その技術を生かして、「あなただけのレコードを作ります」をキャッチフレーズに録音業からスタートしました。当初は録音盤を仕入れて、ダイレクトカッティング盤を作っていました。このダイレクトカッティング盤は、録音盤に直接カッティングしたレコードのことです。
その頃、国内でマスター盤を作っているところはなかったので、82年にマスター盤の製造に乗り出したのです。

現在の年商は。

奥田:約3億円(2004年9月期)です。その内訳は、(1)マスター盤の製造が約8000万円、(2)AV(オーディオ・ビジュアル)が約1億4000万円、(3)電子部品の組立が約8000万円、です。 マスター盤の売上は一時約2000万円にまで落ち込みましたが、ここにきて盛り返しています。それはパイ(需要)の拡大というより、当社の海外取扱店(イギリス・ドイツ等)がアグレッシブに営業活動を展開してくれたからだと思います。一方、(2)のAVは音と映像をベースにした事業、(3)の組立は商社経由でデジタルカメラ関係の部品を受託生産しているものです。


   『FX2』と『SX2』を巧みに使って業績を管理

10年以上前に『SX2』を導入されたと聞いています。

松崎:『SX2』が提供されて間もない頃です。それから数年後に『FX2』も導入していただきました。現在では『SX2』に売上と仕入データを入力すれば、そのまま『FX2』に連動されるので、経理の効率化がはかられています。

奥田:当初は請求書が手書きに比べ綺麗になるなど、対外的な面が導入効果として大きかったが、最近では経営分析(業績改善)のツールとして活用しています。

それは部門別に分けて業績管理されているということですか。

奥田:そうですね。『FX2』では先ほどいいましたマスター盤、AV事業、組立部門の3つに分けて、部門貢献利益をタイムリーにつかんでいます。他方、『SX2』ではその内訳として、主にお客様ごとに部門を分けて業績を把握しています。例えば、AV事業であれば「上伊那郡音楽祭」「音楽教室」「小学校」「中学校」「高校」「大学」などに分けていて、それらの売上と粗利益を管理しているわけです。

永井:AV事業は季節的な変動が激しく、とくに4、5、6月が「魔の3ヵ月」といわれています。

奥田:その理由は、AV事業で大きなウエートを占めているのが学校関係だからです。このあたり(長野県上伊那郡)では毎年7月頃と10~12月に「音楽会」を開催します。音楽会は、ブラスバンド部による定期演奏会やクラス単位で歌をうたうものなど、いろいろあります。それが小・中・高校、長野県内と県外にあります。そのときの音と映像を収録して、CDあるいはDVDにして納品するわけです。

松崎:AV事業で、音楽会と並ぶ大きな柱が「卒業記念」です。

奥田:卒業記念というのは企画物なので、その内容は学校ごとに違います。このため先生や父兄、生徒とよく話し合い、何を収録するかというコンテンツを決めることが重要になります。例えば小学校の場合なら、1年生~6年生までの運動会や修学旅行の思い出を入れるとかですね。
料金は音楽会と卒業記念では違います。音楽会の場合は生徒数が30人でも50人でも一緒ですが、卒業記念の場合は企画物なので注文数によって異なります。また、1本当たりの粗利益率も卒業記念の方が高いです。

松崎:学校市場は比較的リピート率が高いことと、支払(父兄)も納品後ではなく、前受金としていただくケースがほとんどなので資金繰りが楽になるという利点があります。このため『SX2』の《部門別売上月報》を見ると、シーズン中は売掛金残高がマイナスになるところがいくつも出てきます。

   BSCを活用して「中小企業経営革新支援法」を取得

奥田社長がよく見ている帳表というのは……

奥田:『FX2』では《部門別利益管理表》です。マスター盤、AV事業、電子部品の組立の部門貢献利益が当月いくらで、前年同期に比べて増えているのか減っているのかをチェックします。マスター盤とAV事業の変動費は材料費、消耗品くらいで、組立に関しては取引先から材料を支給されます。したがって、3部門ともコストとして大きいのは人件費なので、その金額が予算内に収まっているかどうかを毎月チェックしています。
次に『SX2』の《部門別売上月報》で、どの部門が前年に比べて伸びているのかなどを見ます。例えば主力の学校関係でいえば、今期は小・中・高合わせて100校から卒業記念の注文をいただくことを目標に掲げ、取り組みましたが、3月の途中段階で92~93校になっています。前期が約80校でしたから10校あまり伸びましたが、小・中・高校別に見ると、小学校が減っています。その一因はやはり少子化にあると捉えています。

今後はどんな戦略で事業を伸ばすことにしているのですか。

奥田:一言でいえば、“思い出のトータルメーカー”をキャッチフレーズに高付加価値戦略を展開していきます。具体的には「1校につき年間2タイトル(音楽会と卒業記念)の受注」を目標にしています。 そこで、この目標を達成するために、当社のコア・コンピタンスである“音・映像”技術を生かして「卒業記念DVD」などの商品を開発・販売しました。これはDVDが今後の主流になると考え、従来の卒業アルバルに代わる新しい卒業記念品として開発したものです。

松崎:実は、この「卒業記念DVD」というのは、バランス・スコアカード(BSC)を作成して、若手社員が自社の強み・弱みは何か、今後どういう商品を企画提案すれば、お客様のニーズに応えられるかなどを徹底的に話し合った結果、産み出された商品です。パブリックレコードさんの将来を担う戦略商品であり、すでに「中小企業経営革新支援法」の承認を得ています。

DVDに特化していくにあたっては、取材・編集能力を高めていかなければなりませんね。

奥田:それが一番の課題です。現在AV事業にかかわる正社員は13名です。録音は1人で行えるので、今の陣容なら1日当たり30件はこなせます。それに対し、DVDの場合は1つの卒業記念を制作するのに最低3名は必要で、1日フルにやっても3件くらいです。そこで昨年、AV部門に2名採用するとともに、映像に関する設備投資も行いました。 いずれにしろ、DVDを1つの切り口にして、お客様との関係を密接にしていけば、今後も成長路線を歩んでいくことができると考えています。当面の目標は、年商6億円の達成です。

(本誌・岩崎敏夫)

   会社概要

名称パブリックレコード株式会社
業種情報記録物製造業
代表者奥田憲一
設立1976(昭和51)年12月
本社長野県上伊那郡宮田村6031-1
TEL0265-85-2871
売上高3億円
社員数24名
顧問税理士http://www.kenbunroku.co.jp/
顧問税理士湯澤文弘税理士事務所
長野県駒ヶ根市上穂栄町21-20
0265-83-4531

経営情報システム

  戦略財務情報システム(FX2)ユーザー事例  

アルプス物産株式会社(戦略経営者2003年5月号より)タイムリーな業績管理が経営革新を生む

山と谷に囲まれた信州・木曽福島で30年以上に渡り漬物製造・販売を行ってきたアルプス物産は、今後の生き残りを目指して地元特産の素材を使った新商品の開発や新工場建設など様々な施策に取り組んでいる。そんな積極的な経営を志向する原貞夫社長(70)と原隆司専務(45)が経営上の意思決定を行ううえで最も信頼しているツールが、TKC『戦略財務情報システム(FX2)』だ。

   高付加価値商品を開発しネットでの販売を目指す

アルプス物産株式会社

漬物製造をメーンに事業展開されているそうですね。

原:山菜の醤油漬け、野沢菜漬け、赤かぶの酢漬けなどを卸売業者や小売店向けに製造販売しています。一方、惣菜メーカー向けには早わらび、山うど、たらの芽の水煮などの一次加工品を提供しています。

一部、コンシュマー向けの商品も扱っているとか。

原:ええ。お土産や贈答用の漬物を平成9年に国道361号沿いにオープンした「つけもの茶屋」というアンテナショップで、自社ブランドとして販売しています。

材料の仕入れはどのように行っているのですか。

原:昭和43年の会社設立当初はほとんどが地元からの調達でした。しかし、今は時代の流れで、山菜などは輸入品が主体になりました。これは、全国の漬物メーカーでも同じことが言えます。

現在の漬物業界の景況はいかがでしょう。

原:けっして良くはありません。市場の縮小傾向にともない、低価格競争がより一層激しくなっています。コストの安い中国で材料を調達する業者が増えていることから、この傾向は当分続くとみています。

利益を上げるために、どのような方策で取り組んでおられます。

原:一言でいえば、「経営革新」ですね。具体的には「高い利益率が期待できる付加価値のある新商品の開発」と「新工場建設による生産性の向上」をテーマに、中小企業経営革新支援法(革新法)の申請をしました。昨年11月に無事、長野県から承認が降りました。 とくに新商品に関していえば、地元のキジや山鳥など「肉類の漬物」の開発に取り組んでいます。木曽福島町には、鳥の民間養殖業者がかなりいますので材料の調達に困りませんし、地域の特色を打ち出すことができると考えたからです。今年あたりから、いよいよ試作の段階に入っていきたいと思います。

新商品の具体的な販売方法は?

原:地元の特産品としてインターネットで通信販売することを考えています。全国各地の多くの人々に見てもらえるというインターネットの最大の利点を活用しない手はありません。このため、近いうちに自社のホームページを開設し、特に首都圏のユーザーに対して積極的にアピールしていきたいと思っています。

野沢菜も信州の特産品ですが、現在はどこのスーパーでも手に入る商材になっていますね。

原:私としてはそうしたどこにでもあるものではなく、山に囲まれた木曽福島町ならではの「特異な素材」を扱うことで、オリジナリティーを出していきたい。血糖値を抑える効果のあるイヌリンという成分を豊富に含んだ菊芋なども、いずれは商品化する計画です。

一方の新工場の建設について、お聞かせください。

原:それは、現在の本社工場と藪原工場を新たに建設する「新工場」(敷地面積3000坪)に統合するということです。これによって、生産性の向上と衛生管理の強化をはかることが狙いです。遅くとも来年度中には完成する見通しです。建設費用に関しては、革新法の承認を受けたことで、政府系金融機関から低利子の融資が得られそうなので、それを充てることにしています。

衛生管理の強化というのは。

原:ここ数年、食品メーカーが相次いで不祥事を起こしており、安全性や安心感に対する消費者のニーズが高まっています。実際、我々の取引先からも、安全性のより一層の強化を求める声が出ています。

具体的には、どのようにして安全性の強化をはかるのですか。

原:HACCP(ハセップ)の考え方を参考に、「エアシャワー」の設置や、原材料の入庫から出荷までの流れをすべてワンウェイ(一方通行)にすることで、工場内に雑菌の浸入などを未然に防ぐようにします。同時に、従業員の意識改革を行うことで安全性の確立を実現したいと思っています。


   『SX2』との連動で二度手間を省く

10年前に『FX2』を導入されたそうですが…。

原:はい。顧問税理士の湯澤文弘先生の勧めで導入しました。経営における意思決定や業績管理を行ううえで、非常に有効なツールですね。最近では、後継者の原隆司専務に業績管理や経営判断を徐々に任せるようにしています。

原専務は、『FX2』のどの機能を主に活用していますか。

原専務:《変動損益計算書》と《利益管理表》をよく見ていますね。売上、限界利益、経常利益などの数字に注意しながら、常に最新の業績をつかんでいます。とくに前年と比べてどうなのかが、すぐに確認できる点がとてもありがたい。というのも、私どもでは季節の野菜や山菜を原材料として扱っているからです。天候の不順などで、材料費が高騰する気配を感じたときは、いち早くまとめ買いをするなどして、仕入単価を下げるように努めています。

それ以外では?

原専務:《日々の売上推移表(予算比較)》です。これは日々の売上推移がわかるだけでなく、前年同日との比較もできます。したがって、異常値や問題点があれば、ドリルダウン機能で、前年の実績推移との対比グラフを見て検証します。また、経費についても《変動損益計算書》で異常値が見つかれば、ドリルダウンで会計伝票までさかのぼり、原因究明にあたります。 他方、《部門別利益管理表》を活用して部門ごとの売上、限界利益などをチェックしています。具体的には、・本社工場、・薮原工場、・営業課、・アンテナショップ「つけもの茶屋」の4つの部門に分け、タイムリーに業績を把握しています。

入力はどのように?

原専務:当社では、『SX2(戦略販売・購買情報システム)』に担当者が入力した仕入、売上データや入金、支払データを毎日夕方、フロッピーディスクを介して『FX2』に移し入れてます。以前は別の販管ソフトを使っていましたが、入力作業が二度手間になり不効率でした。そこで、湯澤会計事務所の松崎堅太朗税理士の勧めもあって、昨年『SX2』を導入したわけです。同時に、社内の複数のパソコンをピアツーピア接続して、『FX2』の分散入力が行えるLAN環境にしてもらいました。

   『継続MAS』で革新法の経営計画書を作る

革新法の申請時に提出する経営計画の策定は、『FX2』のデータをもとに『継続MAS』で行ったと聞いています。

原専務:ええ。売上目標などの数字を松崎税理士に伝えたうえで、『継続MAS』を使って3ヵ年の経営計画書を作成していただきました。

松崎税理士:アルプス物産さんの『FX2』のデータを伝送処理で事務所内の『継続MAS』に落とし込み、「経営革新計画システム」の機能を用いて計画数値を策定していきました。『継続MAS』では、それら計画数値を基礎に、「経営革新計画の申請書ファイル」としてエクセルに切り出すことができます。このファイルを使用すれば、中小企業庁のホームページに掲載している様式と同じなので、申請書をエクセル上に展開することができます。

申請書をエクセルファイルにできるということは、電子メールを使ってアルプス物産さんと湯澤会計さんとの間で、申請書のこまかいやり取りができますね。

原専務:おっしゃる通りです。電子メールで何度かやり取りしながら、微調整を行いつつ完成させていきました。ちなみに提出先の窓口となった長野県の木曽地方事務所にも、申請書のフォームを長野県の形に修正したうえで、エクセルファイルのまま電子メールで送りました。

最後に今後の取り組みについてお話ししていただけますか。

原:新工場が完成して一段落した後に、工場内に「漬物体験コーナー」を設け、地元のご家族や観光客を招きたい。どこのご家庭も、父親としての存在感を示すことができる「場」が、少なくなってきています。そんななかで、家族全員で漬物づくりを体験することで、父親を中心に一家がまとまるという空間があってもいいのではないかと思います。

原専務:それと社員の意識改革ですね。とくにコストに対する意識を徹底させることで高収益体質に改めていくことを考えています。それが結局、強い会社を作る一番の近道だと思います。

(本誌・吉田茂司)

   会社概要

代表者原貞夫
業種漬物製造・販売
本社長野県木曽郡木曽福島町新開2386‐1
TEL0264‐22‐2351
年商2億2000万円
社員数25名
顧問税理士湯澤文弘

   CONSULTANTS´EYE

経営革新をシステム面でサポート
  湯澤文弘税理士事務所 監査担当 福島由希夫
駒ヶ根市上穂栄町21-20 電話0265-83-4531


アルプス物産さんと当事務所では30年以上のお付合いになります。
『FX2』は平成5年から導入していましたが、販売管理については昨年まで他社ソフトを利用していました。取引先も多く、取引件数も小口から大口まで多岐にわたるため入力の負担が大きく、売掛金も月末一括計上でした。そのため、社長の頭の中では会社の業績がおおよそ見当がついていても、実際に『FX2』への販売関係の仕訳入力が完了し、具体的な数値として把握できるのは1~2ヵ月後になってしまうという状況でした。そこで、『FX2』を有効に活用し、タイムリーな業績確認ができるように、『SX2』の導入を提案しました。
『SX2』の導入当初は、取引先、商品情報の登録等、準備が煩雑で、経理の方々に慣れていただくまでには時間を要しましたが導入後半年程でスムーズに機能するようになりました。
『SX2』で入力した売上、仕入関連の仕訳データは全て即日連動読込され、『FX2』に即座に反映されるので、現在では、売上高をはじめ限界利益率や経常利益の数字をパソコン画面ですぐに確認できます。
また、『FX2』からは、いつでもその時点の試算表を出力できます。その試算表を使えば経営者または入力担当者だけではなく工場の従業員にも、最新の会社の経営状態を具体的な数字として知ってもらうことが容易にできます。
現在、アルプス物産さんは、新工場の建設に備え、社長、専務を中心に新たな販売市場の開拓、経営の方針見直し等、転換を図っているところでとても活気があります。当事務所としても、少しでも同社の発展に貢献できるよう、今まで以上に努めていく所存です